台風の爪痕

思ってたよりも大きな被害はなかったように感じていた台風19号。(首都圏壊滅もありうると思っていました)幸い自分たちや家族、身近な人たちの大多数に大きな被害はなく、安堵していました。けれど、想定していたよりも大きな被害でなくとも被災している人たちがいます。そう感じたのは、友人に電話をかけたときに「海外から戻ってきたら被災していた」と聞いたときでした。

改めてニュースをチェックしたらさまざまな箇所で爪痕がくっきりと残っていました。前回の千葉のときもそうでしたが、自然災害の爪痕はじわりじわりと浮き上がってきます。直接人に危害を加えるのでなく、環境や地形ががらりと変わってしまうので、もとの生活に戻るためには大変な労力が必要です。今も復旧作業が各地で行われています。作業にあたっている方々と被災した方々に心からエールを贈ります。

何かあったときの感情の置きどころは難しいものです。気分を盛り上げるようなことは控えるべきなんじゃないか、被災している人たちの気持ちを考えなくてはいけないんじゃないか、何かできることはやるべきなんじゃないか、そういう目に見えない空気が漂ってきます。イベントごとの企画をやっているとその空気に飲み込まれ、無力感に直面する機会はとてもたくさんあります。

何が正しいのか、答えがあるものでもないのでしょうが、こういうときこそぼくは目の前のことを大切にするべきだと思っています。おいしいものを食べる、美しいものに触れる、身近な人と会って話をする。ささやかな喜びは生きる活力になります。そんなことをやっている場合なのか?と問われそうになるときほど、温かく、やさしい、思いやりのひとときは大事にされるべきでしょう。それができる人たちはどうか自信を持ってそれぞれの活動を続けていってもらいたいと思います。

台風の爪痕