7月2日からスタートした槇田商店Exhibition「花、ひらく」。少し時間が経ってしまいましたが、こちらでも会場の様子を紹介していきます。
会場は「ひまわりの部屋」「あじさいの部屋」「菜−sai−の部屋」の3つに加え、槇田商店のほぼフルラインナップが揃う物販スペースの4つで構成されています。そこに「ボードゲーム『槇田の傘ができるまでの120日』」「傘の名刺」「垂れ幕」、描いた絵が織物になって届くワークショップ「お絵かきファブリック」の4つの企画を加え、展覧会が作られています。
展示タイトル「花、ひらく」を表した「ひまわりの部屋」「あじさいの部屋」
展示タイトルの「花、ひらく」は槇田商店のロングセラーシリーズ「絵おり」から取りました。これを展示しているのが、「ひまわりの部屋」と「あじさいの部屋」です。絵おりは、絵のように高精細な織物を織れる槇田商店が、自社の強みを最大限に活かしてつくった最初の自社ブランドです。
会場では、ひまわり、あじさいのそれぞれの傘を実際に花が咲いている高さで吊るしています。花畑の中に入るような気持ちで巡ってください。傘に描かれた大きな花はぐるっと一周回ると柄がつながるように織られています。大きく咲き誇る華麗な花たちは、ダイナミックさと繊細さを兼ね備え、見る人の心を惹きつけます。
「菜-sai-」学生との取組から発展したそれまでになかった日傘
野菜のような見た目をした開いても閉じても楽しい日傘「菜-sai-」。山梨産地と東京造形大学の産学連携プロジェクト「フジヤマテキスタイルプロジェクト」をきっかけに生まれ、槇田商店を代表するヒット商品のひとつです。
展示では、今まで見せたことのない織り上がった生地の状態をお披露目しています。三角が連なった生地もすてきですよね。ここから裁断、縫製、組立と工程が進んでいくのですが、その流れが通常の傘と全然違っていることを、話を聞いて初めて納得しました。なるほど、生地を織るだけでなく、生産ラインまるごとこのために作り上げたのですね……。
伸び縮みする糸を使って表現された野菜の微妙なシワ感や色、形。織ることもそれを傘に仕立てることにも数々の試作を繰り返し開発された槇田商店にしかできない商品です。
槇田商店のほぼフルラインナップが揃う物販スペース
ファクトリーショップや出張ポップアップなどを各地で行う槇田商店でも、たっぷりとしたスペースを使って商品を並べる機会はそう多くないようです。「こんな売り場がほしい」受付に立つ職人さんたちが口を揃えて、そう言ってくれました。
それだけのボリュームがある部屋ですからみなさんここからはなかなか出てきません。あれもいいな、これもいいなと楽しそうに傘を試していきます。産地のさまざまな映像や後述するボードゲーム、傘の名刺など、買い物以外の楽しみも充実しています。
若手社員が考えた槇田商店のものづくりを伝えるアイデア①|槇田の傘ができるまでの120日
展示にあたり、決めた目標のひとつが「社員みんなで」展示をつくることでした。そんな想いを受けてまず結集してもらったのが20代、30代の若手社員6名。たまたまメガネをかけた人とかけていない人が半々だったことからメガネチーム・ノンメガネチームの2チームに分かれてアイデアを出し、展示の中で表現する企画を考えてもらいました。この取組にはNPO法人かえる舎に協力を仰ぎました。日々高校生たちの声を聞き、その実現をサポートしている彼らに若手社員たちの声を聞き出してもらうようにお願いしたのです。
ノンメガネチームの3人が出したのは「ボードゲーム」。その名も「槇田の傘ができるまでの120日」。プレイヤーは槇田商店の傘が作られる製造工程を追ってコマを進めていきます。現場の職人さんたちが作っているだけあって実体験が満載。みんなで楽しみながら、ものづくりの裏側を学べるゲームです。
若手社員が考えた槇田商店のものづくりを伝えるアイデア②|傘の名刺
ノンメガネチームに対して、メガネチームが出したアイデアは「傘の名刺」。自分たちが一番お客さんに伝えたいことってなんだろう? 突き詰めて出てきた答えが「織物の生地」でした。
織物の生地をもっと気軽に見てもらったり、そばに置いてじっくりみてもらいたい。そんな想いから生まれたのが、実際の生地を貼った名刺サイズのカード「傘の名刺」です。訪れた人はお好きな生地を持ち帰れます。いつか欲しいあの傘の生地を持って帰るのはもちろん、展示を訪れた記念や、贈り物に添えることもできるこの名刺は展示でも大好評。特に魅力は感じるけど、まだ手は出せない、地域の大学生や高校生が喜んで持っていく印象です。何年か後、社会に出たときに、自分へのご褒美として特別な一本を手に取れるといいね。
織物でできた特大の垂れ幕
展示会場のエントランスにはひまわりの垂れ幕を飾っています。全長約8m、幅1.8mの大柄のジャカード織物は迫力満点! このサイズを一枚絵で織れるのは槇田商店の織機くらいです。業界の関係者ほど驚いてしまう、なんとも贅沢な垂れ幕なんです。
風を逃がすためのスリットからこんな風に顔を出せばフォトスポットにもなります。
描いた絵が織物になって届くワークショップ|お絵かきファブリック
テーマの絵おりにちなんで、描いた絵を織物にして届けるワークショップを行っていただきました。このすごさ、わかる人にはわかっていただけたのか、告知後、すぐに定員に達するほどの人気。当日もみなさんその場で絵を考えるのではなく、下絵を持ち込んで、さながらデザイナーのよう。参加した子どもたちもみんなとても絵が上手で、この経験をした先の将来が楽しみです。
内容盛りだくさんの展覧会も会期は残りわずか。みなさんのご来場をお待ちしています。
【槇田商店exhibition 】
2021年7月2日(金)〜8月2日(月)
定休日:火・水・木
会 場:FUJIHIMURO(〒403-0009 山梨県富士吉田市富士見1丁目1-5)
主 催:槇田商店
企 画:装いの庭
協 力:NPO法人かえる舎/ふじよしだ定住促進センター